老人ホームの返還金の受取人は推定相続人にしておきましょう

入居の際に一時金(入居金)を払う老人ホームがあります。入居から退去までの期間が短いと、この入居金の一部が返還されることがあり、入居時の契約書には、この返還金の受取人を記載することが通常です。


入居者が死亡した際には、指定受取人の口座にお金が振り込まれますが、この返還金を遺産分割協議の対象にしなくて良いのでしょうか?


この返還金について、東京高等裁判所では「被相続人死亡の場合は、被相続人が受け取ることが出来ないので、老人ホーム運営法人の事務の便宜のために代表者としての受取人が指定されているにすぎず、被相続人に帰属する財産である」と判示しています。



つまり、返還金は、相続人の代表として仮に受け取ったにすぎない。受取人のものではないので、遺産分割協議の対象財産になります。入居者が「私が死んだら、このお金は孫にあげたい」と思って、契約書に受取人として孫の名前を書いたとしても、残念ながら孫のものにならず、相続人(孫から見ると親や叔父叔母ですね)に取り上げられてしまう可能性があります。


この判決は専門家の間でも意見が分かれるようですし、今後類似の裁判があった場合に異なる内容の判決が出るかもしれませんが、後日のトラブルを防ぐためには、以下の点に注意して受取人を決めていただきたいと思います。


・指定受取人は、推定相続人(配偶者やその子どもなど、相続人になると思われる人)にしておくこと。

・この返還金を遺贈したい人や団体がある場合には、別途遺言を作成するなどの対応が必要であること。


また、老人ホーム運営法人におかれては、相続人以外の方が指定受取人になっていると相続トラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。ルールの変更などの対応が求められます。